What's in New York

MoMA Queens

Hiroko Sueyoshi Planners, New York

谷口吉生氏のデザインで増築改装中のニューヨーク近代美術館は2005年の工事完成までイーストリバーを隔てたロングアイランドシティーのクイーンズに仮移転を完了。6月29日にはその仮設美術館“MoMA Queens”としてのオープニングを開催した。1929年に創設依頼、モダンおよび現代アートの世界的著明コレクションの数々の展覧会を開催してきたMoMAはロングアイランド市でも同様に特別企画およびそのコレクションの体験提供を約束している。

マンハッタンからのアクセスは地下鉄、バス、距離的には差程遠くない、53丁目の工事中のMoMAの前からフリーのシャトルバスも出るようになっている。このクイーンズにはコンセプチャルなアートや実験的なアートのショーケースとして世界に知られるようになり2年前MoMA の傘下となったあのジェームス・タレルのミーティングルームで有名なPS1コンテンポラリー・アート・センターがある。

PS1は毎年夏になると毎土曜にコミュニティーの憩いの場所としてのミュージックを含む様々なアートイベントを開催、チェルシーのギャラリーが夏になるとクローズされる傾向にある為、マンハッタンに住むニューヨーカーのアートファンにとっては貴重な夏の風物詩的存在となっている。

MoMA Queensはホチキス工場の跡地およそ1万6千平米を改造、マンハッタンとは対象的に低いインダストリアルビルで囲まれたその一帯で深いブルーのペンキで塗られた外観と大きなMoMAのロゴが目立っている。中には特別企画の展覧会会場、ミュージアムコレクションの展示ギャラリーの他、スタディーセンター、ワークショップ、ストレッジ、オフィス、それにカフェ/ストアがある。 それらの各々の空間はなだらかな傾斜路で繋がれダイナミックに広がるその傾斜路は空間全体にドラマティックな動線を描いている。

これらのパブリックスペースのデザインを担当したのは、ロサンジェルスのマイケル・マルツァン。フランク・ゲーリー事務所出身の新進気鋭の建築家である。マルツァンは、MoMAの持つビジョンの歴史を未来へ取り込むデザインにチャレンジしている。パートナーにNYの建築設計事務所Cooper, Robertson & Partnersが選ばれた。彼等は特にインテリアのデザインを担当、美術館には欠かせないストレッジやリサーチセンターを手掛け、これらの施設はマンハッタンの工事が完成した2005年以降も引き続きその機能を続行することになっている。

ロングアイランド市には冬はクローズするが、イサム・ノグチの“The Isamu Noguchi Garden Museumモ もある。シャトルバスはMoMA QueensからPS1そしてイサム・ノグチの彫刻美術館まで運行している。

MoMA Queens のデザインコンセプトをマルツァンは出発点としている。ロビーから続くMoMA Queens の流れるような力強い傾斜路はマンハッタンからロングアイランドのアートシーンの、そしてMoMA の美術館の未来のビジョンに繋がる出発点を象徴しているかのようである。

写真:ニューヨーク近代美術館(2005年完成予定)

MoMA Queens
33 Street at Queens Blvd., Long Island City
10:00 am - 5:00 pm 木、土、日、月
10:00am -7:45pm 金
http://www.moma.org/

PS1Contemporary Art Center
22-25 Jackson Ave. at 46 Ave. Long Island City 718 784 2084
www.ps1.org

(2002年8月)

2002-08

◆Back Numbers

2002年 7月 Skin
2002年 6月 ICFF 2002 インターナショナル・コンテンポラリー・ファニチャー・フェア
2002年 5月 マテリアルセンター・リソース・センター ROBIN REIGI ART & OBJECTS
2002年 4月 アメリカ初のニューメディア・アート・ミュージアム “EYEBEAM”
2002年 3月 『I want to change the world』
2002年 2月 「PRADA SOHO」オープン