What's in New York

ICFF 2002 インターナショナル・コンテンポラリー・ファニチャー・フェア

Hiroko Sueyoshi Planners, New York

9月11日のテロ事件後初のICFF。苦境の中開催を決定し、例年通りオープニング・パーティーは18日の19:00〜21:00、MoMAで開催され、無事オープンした。今年の出展は16カ国の計500。デザイナー、マニファクチャラーおよびコンテンポラリーファニチャーカンパニーの代理店で構成。ファニチャーが主だがテキスタイルやカーペット、ホームファニシングのプロダクトも含まれている。会場整理は特別なセキュリティーに悩まされることもなくスムースだった。

サローネの後だけに注目されるのはサローネに出展されていないカナダを含むアメリカのプロダクト、傾向としては昨年まで目立ったファッション要素がほとんど消えて、ビジネスにいち早く反応できる可能性を追求した、見た目に美しく、機能的でシンプルでかつ経済的で、若者に受けるコンテンポラリーデザイン。

スポンサー、メトロポリスが主催したコンファレンスのテーマは“グリーン(緑)”サステイナブル・デザインをいかにデザイン業務に取り入れていくかの教育がフォーカスされている。だが、会場のプロダクトを見ても環境に害がなくリサイクル可能な範囲で、特にグリーンを意識したプロダクトはあまりなかいのが現実。
3年位前から目立つようになったイタリア勢の出展はMagis、Luceplan、DADA、 を始め今年も50件あまり、アメリカ製に対抗して、お互い一丸となってイタルアのプロフェッショナルで極力完成度の高い製品を特に選出、アマチュアとの違いを見せつけるような戦略と見られる。

ICFF 会場から
今年特に目についたのがヨーロピアンオークツリー、ブラウンの木目の軽い素材のストレッジにもなるスツールや椅子、オークツリーはヨーロッパでは安く大量にあるらしい。ほとんどサローネには出ておらず、次はコロンに出す予定というのが圧倒的。テーブル、椅子、ソファー、多機能のスタッキングチェアは相変わらずの人気で、ボックスや棚、ブックケースも多い。

そのオークツリーを使用したストレッジベンチとセラミックのハンギングランプで注目されたのが、Lolah、カナダの船舶装備の会社が若いデザイナーを起用してファニチャーを発表。ウッドラミネート、合成ゴムなど豪華なヨットやボートに使用される素材などでトレンディな要素も含めながら、クオリティーをキープして、しかも経済的な製品を目指している。

Bernhardt Design
フランスのデザイナー、クリスチャン・ビシェールを起用しレースカーを思わせるようなデザインのラウンジチェア、チェア、テーブルで構成されるAbraを発表、ちょこんとしてかわいく目を引いた。見た目の通り、こじんまりとしていて、安全で快適さ抜群という車のシートがデザインのヒントにされたという。シートの両端はパッドの入ったセンターとファブリックを替えてある。

Blue Dot
今年も実用性を重視した新しいストレッジとスタッキング可能な棚システム、テーブルなどを発表、ここでもファッション系が今年はすでに古くなったことを示し、空港ラウンジやブティックホテルのロビーに見られるような製品で、60年代や70年代のデザインを意識したものや、ウオールペーパーマガジンの普及の影響からスカンジナビアからの輸入デザインの傾向が強くなっているようだ。一方、サクセスの予想のつかないテスト型のアバンギャルド系は少なくなっている傾向の中でオリジナル性は課題となっているようだ。

(2002年6月)

2002-06

◆Back Numbers

2002年 5月 マテリアルセンター・リソース・センター ROBIN REIGI ART & OBJECTS
2002年 4月 アメリカ初のニューメディア・アート・ミュージアム “EYEBEAM”
2002年 3月 『I want to change the world』
2002年 2月 「PRADA SOHO」オープン